超絶頑丈父娘vsワニの群れ!アジャが描くワニ映画の傑作『クロールー凶暴領域ー』
試写会に3回も行ったのでタイトルはライターの試写レビューっぽくしてみた。
途中からネタバレ感想になります。
Fan's Voice、THE RIVERの試写会に加え霜降り明星のトークイベント付きの試写会と応募しまくってたら全部当たって公開前なのにすでに3度鑑賞した『クロールルー凶暴領域ー』。
日本公開決まる前の情報が出た時から心待ちにしていた本作。ライミプロデュース、アレクサンドル・アジャ監督とホラーファンからすると頼もしいことこの上ないタッグが仕掛けるワニ映画。面白くないはずがない。
ということでワクワクしながら行った試写会、期待を裏切らない傑作ワニ映画でした。
PG12指定ということでゴア描写にはそこまで期待してなかったんだけどそこはさすがのアジャ、痛い描写には容赦無いしこんな死に方は嫌だ(一般視点なら)っていう人喰いシーンも観れたので人喰いファンとしても満足(※自分は生物に食い殺されるなら本望なのであれはアリ)。
また同ジャンルの有名作へのオマージュシーンで思わずニコニコしてしまうシーンも多く、サービス精神抜群。
普通の作品なら短期間で3回も観れば飽きる箇所もでそうだけど、本作はそんな心配は一切なし。全体が88分とコンパクトにまとまっていて緊張感が序盤から一切緩まないので休む暇が無い。いわゆるドラマパートもその後の展開に活きてくる。むしろそれがあるおかげでワニとの闘いもより熱いものになっているので本当に全編通して面白い。
個人的にはサメ映画の『ロスト・バケーション』との比較が面白いと思っていて、ストーリーのベースにある設定は共通していて状況設定も根っこは実質同じ。まあ自分はどちらも最高に面白い映画だと思っているのでそのへんのレビューは生業の方たちに任せるとして、とりあえず『ロスト・バケーション』が好きな人はこっちも気に入ると思う。
とにかく、これまでも『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ピラニア3D』といった人喰い映画を撮ってきたアジャ監督の新たな代表作になるであろう『クロールー凶暴領域ー』、最高に面白いワニ映画、ぜひ劇場で。
あ、犬は死にません(ネタバレ)
以下ほんとにネタバレ
この映画、まず導入がすでにかっこいい。主人公が水泳選手ということでタイム測定のシーンから始まるわけだけど、飛び込んだ水中からのカットでレーンごとに一文字で出るC R A W Lの文字。直後泳ぐ選手たちが通り過ぎたとこの文字はかき消される。なにそのおしゃれな演出。かっこいい。
ネタバレなし感想の部分で触れてた同ジャンル映画へのオマージュシーン、自分が気づいたとこを挙げると、
・火事場泥棒する三姉兄弟の姉がワニに襲われるとこ→『ジョーズ』
・ヘイリーがワニの卵を見つけるとこ→『アナコンダ』多分他にもありそう
・その卵からチビワニが出てくる→自身の監督作『ピラニア3D』?
・終盤、堤防が決壊して浸水した家でキッチンの上に避難から転覆したボートまで移動し無線をつかみ取るまでの一連→『ディープ・ブルー』
・クライマックス、水没した家に窓の外からワニが突っ込んできて部屋に流れ込むとこ→『ディープ・ブルー』
あたりかな。他にもあったら教えてください。
人喰いシーン、ピートが群がられて食い千切られるとこ以外は基本水中で分かりにくいけど要所でちゃんと噛みつかれるところは映してくれるので満足。人喰いはいいぞ。
一応突っ込みどころ。
タイトルに書いたけどとにかく主人公父娘がとにかく頑丈すぎ。物理ダメージじゃ多分首落とすとかしないとまず死なない。
父ちゃんは左足折れて右腕食い千切られてるけど固定して布まいときゃ大丈夫!
そしてその血を受け継いだ娘はもっと頑丈。なにせ
・右足噛みつかれて振り回されて壁にたたきつけられるが骨折なし
・右腕食いつかれるも骨折なし
・右足右腕に傷を負いながらワニから逃げ切りボートへ泳ぎ着く、バスルームの壁飛び越える
・左肩食いつかれ必殺のデスロール食らうも発煙筒押し付けて脱出
だもの。骨強すぎ。かっこいい。
あと個人的にツボなのが段階ごとに与えられる父ちゃんのワニ知識。
Phase 1: 地上編
「ワニは地上では遅いが夜目はきくぞ!」
地上では動きは遅いとはいえ暗いとこでもしっかり見える。近づかれないように気をつけよう!
Phase 2: 水中編①
「ワニは金属音を嫌う。金属音を出して気をそらそう」
父ちゃんがワニの気をそらしてる間に階段へ向かえ!
Phase 3: 水中編②
「ワニは水音で獲物を見つける。雨で水音が紛れてるからワニに見つからないようゆっくり進もう!」
ハリケーンの目に入ってしまった!さらに堤防が決壊してしまい時間が無い!泳ぐんだ!お前は誰だ!言ってみろ!
「私は最強捕食者よ!」
ゲームのチュートリアルか!
ラストは発煙筒を掲げ、ヘリが救助しにくるこれまたかっこいいキメ画で終わるわけだけど、これ見て思ったのはクロールがピラニアみたいなギャグテイストの作品だったら突然巨大ワニが出てきてヘリ撃墜して終わったんだろうなって。アジャだし。
カヤ・スコデラリオの着ていた上着に吸わせた雨水を飲ませてほしい人生だった。
おしまい。